CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 223rd ひざまずいて足をお舐め

 私は、もうずっと昔から、弟以外の肉親とは縁を切っている。思い出すこともあまりない。だけど、夏休みの時期に朝顔の花が咲いていたりするのを見ちゃったりすると、ふっと、家族の顔を思い出す。でも、懐かしいとか、そんな気持じゃあないんだ。
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」
『ひざまずいて足をお舐め』より

『ひざまずいて足をお舐め』は、山田詠美の半自伝的小説だと思っている。特に詠美がデビューした当時の周囲の様子がわかる描写が多い。
もちろん、細かいディテールなどは異なるので、純粋な半自伝小説とは言い切れないのではあるが。
そんな小説の主人公の回想シーンの中に夏にまつわるエピソードがあったので、二日にわたってその部分をご紹介したい。
【DATA】
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」
新潮文庫『ひざまずいて足をお舐め』
KEN'S NIGHT M5レフィル<青色夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track2 Summertime