CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 286th 写真週刊誌に愛憎こもごも

 人の死も不倫も汚職も災害も、何もかもが一枚の写真の許で一緒くた。でも、そこでは、希望や幸福や喜びも同列に並べられているのでした。ちなみに、私がデビューしたのも八五年。嬉しさも口惜しさも写真週刊誌が運んでくれました。写真は嘘をつかないけれども、そこに付けられた文章は嘘をつく。そんなことを学んで、あれこれ肝に銘じました。
山田詠美「写真週刊誌に愛憎こもごも」
『吉祥寺デイズ: うまうま食べもの・うしうしゴシップ』より

山田詠美がデビューした時、そのデビュー前後のことが写真週刊誌に取沙汰されて、ひと悶着あったのを覚えている人もいるかもしれない。
元SM嬢だったとか、ヌード写真集を出したとか、そういうことばかりが書かれて、まぁ、それは事実だったんだけど、そのことで、詠美は色眼鏡で見られるようになった。
今では考えられないことだが、結構、当時としてはそういう職業だったことがショッキングだったらしくて、その時の狂乱ぶりを実際にぼくはリアルタイムで見ていた。
ただ、ぼくはまだ高校生ぐらいだったので、あまりよくわからずに、なんか黒人とのセックスを描いた作家が出てきたんだって?ぐらいの認識しか持っていなかった。
でも、それを考えるとちょっとした印象でその人の評価って決定的なものになってしまうんだなぁ(作品も読みもしないで)って思った。
【DATA】
山田詠美「写真週刊誌に愛憎こもごも」
小学館文庫『吉祥寺デイズ: うまうま食べもの・うしうしゴシップ』
KEN'S NIGHT M5レフィル<祝祭摩天楼>
KEN'S NIGHT 3rd 2nd Track 7 Stars Fell on Alabama ※ラメ入り