小説『ひざまずいて足をお舐め』
でも、懐かしいとか、そんな気持じゃあないんだ。なんだか、自分が、ずいぶんと昔に、引き戻されて、無理矢理、実家の縁側に座らせられるような気持。気が付くと、クーラーのきいた自分の部屋にいて、ああ、よかった、私、ちゃんと大人だって思って溜息をつ…
私は、もうずっと昔から、弟以外の肉親とは縁を切っている。思い出すこともあまりない。だけど、夏休みの時期に朝顔の花が咲いていたりするのを見ちゃったりすると、ふっと、家族の顔を思い出す。でも、懐かしいとか、そんな気持じゃあないんだ。山田詠美「…
「ちかと申します。この世界のこと右も左も解らない新入りです。忍お姉さん、色々とお世話をかけることと思いますが、よろしくお願いいたします」 私はその礼儀正しさにちょっと感動したね。だって、その時は、まだちかが、面倒臭い時は礼儀正しく振る舞って…
セックスは男と女の重要なつながりのひとつだってこと。本当のことなのに日本人って恥しがる。体で愛し合うのって最高だよ、お姉さん、そこに心が加われば、もっと最高。遊びのセックスはこの場合、他に置いといて、さ。そう思わない?山田詠美「ひざまずい…
腰、動かすだけなら動物と同じだよ。人間なら、もっと脳みそ使ってセックスしてごらん。五感をフル回転させなきゃね。感覚って使わないと退化して行くものなんだよ。 「ひざまずいて足をお舐め」より 小説家になる前、SMのお店で働いたこともある山田詠美…