CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

小説『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』

Day 112nd「ME AND MRS. JONES」    

「体はね、お菓子のようなものなのよ。心はね、パンのようなものなのよ。ベイビー」「ME AND MRS. JONES」 幻冬舎文庫『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』より 「ME AND MRS. JONES」は、心と体の問題を考えるのに、実にうってつけのテキストだと…

Day 102nd「ME AND MRS. JONES」

「男の体を求めるのは最初の半年でいいの。それから後は心が欲しい」「ME AND MRS. JONES」 『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』より 前にこの「ME AND MRS. JONES」を紹介した時にも書いたが、この作品にも山田詠美の心と体の問題に触れるような…

Day 93rd「ME AND MRS. JONES」

彼女の唇はパイの匂いが残っていて、いつも甘い。僕は挨拶ではない口づけを彼女によって教えられた。その種の口づけはいつも性的な欲望とつながっていて、僕に彼女をベッドの上に押し倒させるのだった。山田詠美「ME AND MRS. JONES」『ソウル・ミュージック…

Day 30th 「WHAT'S GOING ON」

私は守られている。そして、それが私の求めた結末なのだ。アイダは夫の手を握り返した。夫の手は大きくてやさしく、未知の部分がなかった。私はこれが欲しかったのだ。彼女は自分にそう言い聞かせた。それにしてもロドニーの声や匂いは、昔の日々に対する欲…