小説『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』
「体はね、お菓子のようなものなのよ。心はね、パンのようなものなのよ。ベイビー」「ME AND MRS. JONES」 幻冬舎文庫『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』より 「ME AND MRS. JONES」は、心と体の問題を考えるのに、実にうってつけのテキストだと…
「男の体を求めるのは最初の半年でいいの。それから後は心が欲しい」「ME AND MRS. JONES」 『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』より 前にこの「ME AND MRS. JONES」を紹介した時にも書いたが、この作品にも山田詠美の心と体の問題に触れるような…
彼女の唇はパイの匂いが残っていて、いつも甘い。僕は挨拶ではない口づけを彼女によって教えられた。その種の口づけはいつも性的な欲望とつながっていて、僕に彼女をベッドの上に押し倒させるのだった。山田詠美「ME AND MRS. JONES」『ソウル・ミュージック…
私は守られている。そして、それが私の求めた結末なのだ。アイダは夫の手を握り返した。夫の手は大きくてやさしく、未知の部分がなかった。私はこれが欲しかったのだ。彼女は自分にそう言い聞かせた。それにしてもロドニーの声や匂いは、昔の日々に対する欲…