小説『風葬の教室』
私が新しい学校生活に出会うのは、いつも春ではありません。学年の始まる春は、誰もが私と同じ立場なので、私には少しも新しい気持が起きません。私は、自分を遠く別だと感じません。特別でない自分を、いったい人はいつくしむことが出来るものでしょうか。…
私も死ぬのが恐い。けれど、想像がつかないからではないのだ。私が死を恐れるのは想像がつくからなのだ。私自身のことではない。私の周囲にいる人、とりわけ私を好きでいてくれる人の嘆きようが想像出来るから怖いのだ。彼らは、きっと泣くだろう。あの呑気…
私は人間には大人と子供という分け方があるのだといつも思います。それは、もちろん実際に年齢をとっているかどうかということとは関係がありません。あの人は子ども、あの人は大人。私は自分にとって少し簡単すぎると思われる授業の時は、いつも人々を大人…