CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 222nd ファミリー・アフェア

 たとえば、ガレスピーのトランペットが、キスの雨のように聞こえる場所がある。音楽が場所を限定し、場所が時を限定し、時が心を限定するその瞬間、音楽は音楽でありながら心象を切り取るナイフの役目を果たすのだ。私は、そんなナイフを無理矢理持たされたことが何度かある。
山田詠美ファミリー・アフェア
『4U(ヨンユー)』より

たまに、懐かしい音楽がラジオなどからかかってくると、それだけでその音楽を良く聞いていた頃のことを思い出すことがある。そんな時、音楽というのは、タイムマシンのようなものだなと思うのだが、詠美のこの文章を読んでそんな感情を思い出した。ぼくが音楽が好きなのは、そういうタイムマシン的なところがあるからなのかもしれない。
そして、きっと音楽好きな人だったら、ぜったいその感情を共有できるのではないだろうか。
【DATA】
山田詠美ファミリー・アフェア
幻冬舎文庫『4U(ヨンユー)』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩色音楽集>
2nd Track 5 A Night in Tunisia ※ラメ入り