CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 107th「ひざまずいて足をお舐め」

「ちかと申します。この世界のこと右も左も解らない新入りです。忍お姉さん、色々とお世話をかけることと思いますが、よろしくお願いいたします」
 私はその礼儀正しさにちょっと感動したね。だって、その時は、まだちかが、面倒臭い時は礼儀正しく振る舞ってその場を切り抜けるって方法を使う娘だなんて、気付く筈もないじゃない。
「ひざまずいて足をお舐め」    
新潮文庫『ひざまずいて足をお舐め』より    

もしお手元に「ひざまずいて足をお舐め」の文庫本があるなら、(持っていない人は本屋さんなどでみつけたら)適当な部分で開いて見てほしい。
圧倒的な文字の多さに驚くはずだ。
改行や会話文がほとんどなく、延々と文章が続くのだ。
その独白は忍姉さんのもので、彼女がとにかくずーーーっと物語の進行を務める。
のべつまくなし、文章が続いているので、一見読みにくいと思ってしまうかもしれないが、これがぐいぐいと引っ張られる熱量にあふれている。
これは、もう山田詠美が言いたくて言いたくてしかたなかったのではないかと思わせるほどの熱量を行間から読み解くことができる作品。
これもまた詠美の半自伝的な部分があるので、多くの人に読んでもらいたいと思っている。
【DATA】    
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」    
新潮文庫『ひざまずいて足をお舐め』    
KEN'S NIGHT M5レフィル<祝祭摩天楼>    
KEN'S NIGHT 2nd Track1 Misty ※ラメ入り