CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 182nd あるリゾートのお楽しみ

 終わってしまった海辺のリゾートが好きだ。この場合の終わってしまったというのは、とうに盛りの過ぎた、という意味である。たとえば、メキシコだったら、カンクーンよりアカプルコ。タイだったら、プーケットなどより、パタヤ。リゾート通であれば、あそこは、もう過去の場所、と流行遅れの服をさっさと捨てるように、足を運ぶのを止めた場所。俗を極めたリゾート地は稀に退廃の美味を手に入れる。日本人になじみのハワイのワイキキにだって、そんな一角は、確かに存在するのだ。
山田詠美「あるリゾートのお楽しみ」
『Amy Shows』より

東京の夏は大嫌いなのに、南国のリゾート地は好きというぼくにとって、リゾートは憧れの地でもある。
主にバリ島が好きなのだが、それは詠美の作品にしばしばバリ島が登場するからという理由もある。
そんな詠美はバリ島以外にも、タイのリゾート地を舞台にした短編も書いているし、その他にも地域は特定されていないが作品にリゾート地が出てくる作品もある。
上記の文章からは、詠美なりのリゾート観のようなものがうかがえて、またそういうリゾート地を舞台に何か小説を書いて欲しいなぁと思ってしまうのである。
【DATA】
山田詠美「あるリゾートのお楽しみ」
新潮文庫『Amy Shows』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track2 Summertime