CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

小説『ぼくは勉強ができない』

Day 146th 賢者の皮むき

ぼくが腑に落ちないのは、山野舞子のような女の子たちが、仕方なく美少女になってしまったの、とでも言いたげな様子をしていることなのだ。そうして、誰もが自分の味方に付いているのを疑いもせずに、振る舞っているいることなのだ。山田詠美「賢者の皮むき…

Day 125th ぼくは勉強ができない

幸福に育って来た者は、何故、不幸を気取りたがるのだろうか。不幸と比較しなくては、自分の幸福が確認できないなんて、本当は、見る目がないんじゃないのか。そう言えば、植草は、虚無がどうのこうの言ってたな。「ぼくは勉強ができない」『ぼくは勉強がで…

Day 115th「健全な精神」

「そりゃ、いいわよ。安心出来るわ。でも、男と女のことに関しては、どうかしら。つまんないわよ、あんまり健やかなのってさ。体が健全なのは基本なのよね。健康な肉体って素敵だと思う。特別な好みを持つ人もいるけど、たいていの人は、健康な肉体に性的な…

Day 69th    「健全な精神」

「彼女は、わりと賢いな。心身共に健康なのは、もちろん良いことだが、無駄がなさ過ぎて退屈なんだと言いたいんだろう。時田、いいかい、世の中の仕組は、心身ともに健康な人間にとても都合よく出来てる。健康な人間ばかりだと、社会は滑らかに動いて行くだ…

Day 19th「〇をつけよ」

父親がいない子供は不幸になるに決まっている、というのは、人々が何かを考える時の基盤のひとつにしか過ぎない。そして、それは、きわめてワイドショウ的で無責任な好奇心をあおる。良いことをすれば、父親がいないのにすごいと言い、悪いことをすれば、や…