CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 224th ひざまずいて足をお舐め

でも、懐かしいとか、そんな気持じゃあないんだ。なんだか、自分が、ずいぶんと昔に、引き戻されて、無理矢理、実家の縁側に座らせられるような気持。気が付くと、クーラーのきいた自分の部屋にいて、ああ、よかった、私、ちゃんと大人だって思って溜息をついたりする。
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」
『ひざまずいて足をお舐め』より

ぼくは、あまりそういう記憶がないので、わからないのだが、子ども時代にあまり良い夏の思い出がない人というのは、一定数いるようで、そんな気持をこの場面では描いていて、その感じが、そういう経験がないぼくにも容易に想像できるような表現で描いているところが詠美の描写力の素晴らしさだなとこのシーンを読んで思った。
【DATA】
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」
新潮文庫『ひざまずいて足をお舐め』
KEN'S NIGHT M5レフィル<青色夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track 7 Stars Fell on Alabama ※ラメ入り