CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 284th 自堕落ポンちゃん

 

 作家は先生と呼ばれる。私でさえ、時々、呼ばれる。でも、それは一体、何故なんだろう。人に物を教える人を先生というのだと思っていた。私の作品が人に物を教える人を先生というのだと思っていた。私の作品が人に物を教えているだろうか。私は人に物を教えようと思って小説を書いたことなど一度もない。ただ、物を知らせようと思っているだけである。私は道徳の先生なんかじゃない。ただ、自分の言葉をひとに知らせたいと思う目立ちたがり屋なのだ。
山田詠美「自堕落ポンちゃん
『AMY SAYS』より

昨日ご紹介した「道徳」に通じるエッセイをみつけた。
ぼくは詠美のサイン会などに遊びに行くとき、控室に遊び行くのだが、その時、いろんな人たちが詠美さんと接する様を見る。その時に、いつも周りの人たちが詠美さんのことをどう呼んでいるのか、に注目している。
親しい編集者はたいてい「山田さん」と呼んでいるし、さらに仲の良い編集者とかは「詠美」と呼びつけにしている編集者もいる。
でも、そうじゃない人たちはたいてい「山田先生」と呼んでいるのだ。詠美さんはそんなことでいちいち怒ったり、注意したりすることはないのだが、本人はあまり「先生」と呼ばれることを好んでいないのはぼくは知っている。
だから、詠美のことを「山田先生」と呼ぶ人は、あまり詠美のことを知らない人、あるいは、社交辞令(あるいは、出版界の決まりにしたがって)で詠美のことを「山田先生」って呼んでいるんだろうなと思う。
そこで、その人と詠美との親密度をぼくは勝手に計ってしまうのだ。イケズな妹を許して!(笑)
【DATA】
山田詠美「自堕落ポンちゃん
新潮文庫『AMY SAYS』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The Rose ※ラメ入り