CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 187th ファミリー・アフェア

義母がドアを開けた拍子に外に流れて来た野菜を煮る匂いが、鼻をくすぐった。そして、古い木のラジオから流れるゴスペルは、身もを。遠くのしだれ柳の向こうに、ビクトリア様式の家が見える。まだ熱い空気は、私たちを埋め尽くして、汗をかかせる。
山田詠美ファミリー・アフェア
『4U(ヨンユー)』より

山田詠美の最初の旦那さんはアフリカ系アメリカ人で、アメリカの南部出身。だから、詠美さんは良く元旦那さんと一緒に南部を訪れており、その時の経験を基に作品をいくつか残している。
この短編集もそんな経験から生まれた作品と思われる。
アメリカ南部なんて、日本人にはあまりなじみのない場所だし、想像もつかないと思うが(ぼくも一度だけナッシュビルに遊びに行っているが、滞在期間があまりにも短すぎて、ほとんど覚えていない)、独特の雰囲気のあるところなんじゃないかということが作品を読んでいると良くわかる。
上記の箇所はそんな南部の様子が伝わってくるシーンだ。
<解説>
【DATA】
山田詠美ファミリー・アフェア
幻冬舎文庫『4U(ヨンユー)』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩色音楽集>
KEN'S NIGHT 2nd Track12 You'd Be So Nice to Come Home to