CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 221st 花火

男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれ合って、それに飽きた瞬間に、離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられなくなるのは心が結びつき始めるからよ。体も心も結び付いて離れられないのは、だから一瞬なのね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね
山田詠美「花火」
『晩年の子供』より

なぜこの短編作品のタイトルが「花火」なのか、がわかる文章。
見事である。
そして、心と体の関係をこんなにも細かく分析しているところが詠美らしくて、ぼくはこの文章も気に入っている。
花火のように素晴らしい一瞬だからこそ、その一瞬は大切にしたいと思うし、そういう関係を築ける相手というのは貴重なんじゃないかといつも思う。
【DATA】
山田詠美「花火」
講談社文庫『晩年の子供』
KEN'S NIGHT M5レフィル<花火摩天楼>
KEN'S NIGHT 3rd Track01 Blue Skies