CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 218th セイフティボックス

 ところで、バリに行くのは今回が5回目である。いつもは山奥に泊まるんだけど、今回は短い滞在なので、思い切り豪華なところに泊まることに決めた。レギャンの奥に、とっても素敵なホテルがあるのだ。石垣に囲まれたプライベイトヴィラにたった一人で泊まっている、孤独な美人作家を気取ろうとした私。でも、やっぱり性に合わなくて、現地の男の子たちと遊びまわってしまった私。やっぱり慣れないことはするもんじゃないね。お喋り好きな私は、気怠くひとりでロマンティックなんて出来ないの。やっぱり、その土地の人と仲よしになって楽しくやらないとつまらない。
山田詠美「セイフティボックス」
『セイフティボックス』より

基本的にせっかちで貧乏性なぼくは、海外のリゾートに行っても、のんびりと過ごすことができない。
本当は、プールサイドのビーチパラソルの下で、のんびりとジュースでも飲みながら(下戸なのでお酒が飲めない…汗)、本でも読み。飽きたら、ゆっくりとプールで火照ったからだを冷やし、またデッキチェアに戻ってうたたねをして…という時間を過ごしたいのだが、ものの5分もしないうちに、なんだかそこにずっといることがもったいないような気がして、そわそわしてくるんである。
結局、そんな優雅な時間は1時間と持たず、気付くと、ばっちりと外出の準備をして街にでかけるというリゾート地にあるまじき行為を繰り返していた。
でも、それは、現地の人たちと買い物などを通して話をしたり、カフェに行ってお店の人と話したりするのが楽しいからだったのではないかと、詠美のこの文章を読んで思った。
バリ島に行っても、ぼくは正装に身を包み、お祭りに参加するのが好きだったのも、そんな現地の人たちに混じって遊びたかったから。
やっぱり詠美とぼくは姉妹関係なのね、とこの文章を読んで改めて思った。
【DATA】
山田詠美「セイフティボックス」
講談社文庫『セイフティボックス』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust ※ラメ入り