CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 249th Crystal Silence

その内、彼の顔がはっきり見えるようになったから、陽ざしに目が慣れて来たのかしらと思ったけど、時間がたって、太陽が動いたのね。彼の影が、私の顔の上に落ちていた。まるで日時計みたい。そう思うと、ますます彼がいとしくなったわ。体は、じりじりと灼かれているのに、瞳だけがすずしくなったの。私、気持ち良くて、ちょっと笑ったわ。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符』より

このシーンもまるで映画のワンシーンのようだ。だが、その舞台となるのは、おしゃれなリゾート地ではなく、南の島の、誰も来ないような静かな海辺。そこがまた詠美の作品らしくて、良い。
夏になるたびにこの作品を読みたくなるのは、こういうシーンを通して疑似体験をしたいからなのかもしれない。ぼくは夏の暑さが大の苦手なので…それなのにこういうシチュエーションに憧れもするんですけどね(笑)。
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track1 Misty ※ラメ入り