CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 216th 口の増減

頭の良い奴は、大抵の場合、超ダサですが、私は、アバンギャルドなセンスも持ち合わせているので、益々、分が悪いんですよね。ほんと、この世の中のことを考えると、私の頭の中のテクストはパラドックスでいっぱいですよ。まさに世紀末って感じです。
山田詠美「口の増減」
『快楽の動詞』より

実験的な短編小説集の中の一篇。
「へらず口」と「ふえず口」の文通という形で話は進むのだが、この「へらず口」の文体は非常にぼくにとっては「何言ってるんだ?こいつ…」的な感じで読んでしまい、ぼくはどちらかというと「ふえず口」派だなと思ってしまう。
理屈ばかりをこねて、誰も聞いてもいないのに打ちくばかりを傾ける人というのは、どの世界にもいて、そういう人は嫌われる傾向にあるのだが、まさにこのへらず口はそのタイプ。
それをコミカルな文章で描いているところにこの作品の面白さがあると思う。
【DATA】
山田詠美「口の増減」
文春文庫『快楽の動詞』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 04 Night and Day