CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 211st Crystal Silence

 夏に恋が似合うだなんて、いったい誰が決めたのかしら、とマリは言う。私たちがスウィミングプールに行った帰り、ティールームでお茶を飲んでいた時のことだ。知り合った男の子、親に内緒でのぞいたディスコ、数年ぶりに食べたお祭りの綿菓子。真夏の話題は、いつも少し子供っぽくて、のるたるじっくで、私たち女の子の気持をなごませる。ソーダ水や苺のアイスクリームや、そんなふうに色のついた飲み物やお菓子に一番よく似合う。もちろん、私たちの年齢にも。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符(キーノート)』より

ぼくが山田詠美を読むきっかっけとなったのが『放課後の音符』です。その短篇集の中でも一番ぼくが好きなのがこの「Crystal Silence」という作品。
夏に南の島で耳の聞こえない少年と恋に落ちた女の子の話なのですが、その夏の情景がとても美しくて、まさにタイトルにある「Cyristal Silence」の世界なんですよね。
この印象シーンはこの作品のオープニングシーン。少女たちの夏の様子が描かれていて、ちょっと懐かしい感じが好きです。
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符(キーノート)』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 06 My Favorite Things