CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 68th    「Salt and Pepa」

 卒業式の季節になると、なんだか学校は不思議なざわめきに包まれる。私たちの一番みぢかにいる少しばかり大人の人たちが、どんどんいなくなるって、妙な気持だ。学校に子供ばかりが増えて行くように感じるのは、私たちが段々と大人に近づいて行く証拠かもしれない。
「Salt and Pepa」『放課後の音符』より

今でも高校生たちの間ではバイブルだと言われている山田詠美の『放課後の音符』は、何度読んでも新鮮な驚きと発見のある作品だと思う。
すでに忘れてしまった、学校内での様々なことを思い出すし、それによって、当時の学校の独特の空気感までもがまざまざと実感としてよみがえる。
卒業式間近のこの描写もまさに、そんな感じだ。
特にぼくの場合は中高一貫の男子校だったので、余計にそういう感じがした。
高校一年生からしてみれば、高校三年生なんて、もう大人の男という感じで、近寄りがたかったし。
そんなことを思い出しながら詠美の青春小説を読むのもまた醍醐味なんだと思う。

【DATA】    
山田詠美「Salt and Pepa」    
新潮文庫『放課後の音符』
KEN'S NIGHT M5レフィル<祝祭摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 10 My Funny Valentine ※ラメ入り