CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 205th バックステージ

 価値あるものには、常に二つの種類がある。すぐに駄目になってしまうから高価であるもの。そして、どんどん味わいを増すから、高価であるもの。前者は、食料品。血や肉を作る。後者は、ワインやら宝石やら心を作るもの。この二つは相容れないと決まっている。それなのに、人間の世界では、違うのだ。前者が成長して、後者に結晶することもある。人間たちにだけ、この優美な特権を与えられているのだ。
山田詠美「バックステージ」
『チューイングガム』より

山田詠美の作品には、思わず傍線を引きたくなるような文章が多い。自分だけの辞書を作って、事あるごとに読み返したいような、そんな文章。
上記の文章もそう。
価値のあるものには二種類あるという話。
そして、人間にだけ、その価値というものは理解できるもので、だからこそ、そういう価値を見出していく力を常に身に付けたいと思っているし、そういう価値のわかる人間になりたいとぼくは常々思っている。
【DATA】
山田詠美「バックステージ」
幻冬舎文庫『チューイングガム』
KEN'S NIGHT M5レフィル<美酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 4 I Left My Heart in San Francisco