CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 116th「ウァッツ テイスティ?」

苦しみは、喜びを引き立てる。そういう意味で、彼は、快楽主義者だった。安定と身を焦がす恋を同時に手にしようとして、自分をひりひりする場所に立たせていたのだ。
「ウァッツ テイスティ?」    
幻冬舎文庫『チューイングガム』より    

「チューイングガム」は、男女が恋に落ち、結婚をするまでの過程を男女それぞれの立場から描いた結婚小説である。
そして、どのページにも詠美節があふれていて、ぼくは今でもこの小説を読むたびにその詠美ワールドにどっぷりとつかり切ってしまう。
上記の場面は、主人公のココが、なかなか別れられない男のことを描いた場面。
詠美らしい上手な心理描写だと思うし、ものすごくこの描写がわかる。大人になればなるほど、そうそう、そういう男いるよね、って思えてくるのだ。
だから、そういう詠美独特の文章に出会うと、ついつい棒線を引きたくなってしまう。

【DATA】
「ウァッツ テイスティ?」    
幻冬舎文庫『チューイングガム』    
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>    
KEN'S NIGHT 2nd Track10 Moonlight in Vermont