CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 204th クローゼットフリークの驚異

 人は見かけによらない。この見かけによらない人間を、アメリカではクローゼットフリークと呼ぶ。もっとも、これは、ほとんど男と女の間のことに使われる言葉である。清純そうに見える女が、ベッドの中では、大胆な娼婦のように振る舞い、その手練手管に男は唖然とする。そんな時に彼は、この女、クローゼットフリークだぜ! と喜びに舌つづみを打つのである。仕事中には野暮なスタイルを押し通し、実は、家のクロゼットの中には、スノビッシュで行きな洋服をずらりとそろえている、そんなやり手の女に捧げられる誉め言葉である。
山田詠美「クローゼットフリークの驚異」
『メイク・ミー・シック』より

この文章を読んだ時、真っ先に思い浮かんだのが『フリーク・ショウ』の中の「ルーシィ」という作品だ。この短編作品の主人公であるサオリは、昼間は地味なOLとして働いているのだが、週末になると体にぴったりと貼りつくドレスを着てクラブに遊びに行く。
まさに、クロゼットフリークなのである。
ぼくも、この作品を読んでいた時は社会人として紅茶会社に働いていており、ちょうど二丁目での遊びを覚え始めた頃ということもあり、まるでサオリのような気持ちで週末になると二丁目に繰り出していた。
まぁ、ぼくの場合は社会人でありながらも、ピアスをしていたので、クロゼットフリークではなかったとは思うのだが。
【DATA】
山田詠美「クローゼットフリークの驚異」
集英社文庫『メイク・ミー・シック』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 3 The Girl from Ipanema ※ラメ入り