CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 147th 前夜祭

 恋する回数が、人よりも、ずば抜けて多くて、さまざまな人たちと結びつく手管は、きちんと都会風に心得ていて、おまけに、それに決着をつけるのが、とてつもなく上手いために誰も憎むことは出来ない。それが私だった。そんな無責任な女が、ひとりの男を選び取り、終わりのないという前提のある関係に足を踏み入れようとしているのだもの。彼らが、ひと言、言いたい気持も良く理解できる。
山田詠美「前夜祭」
『24・7(トウェンティフォー・セブン)』より

山田詠美の最初に結婚した時、ちょうどデビューして数年経ったころということもあり、様々な形でその時の結婚の様子が小説やエッセイなどでうかがうことができる。
小説だと「チューイングガム」や「ラビット病」などがまさにそんな結婚生活を描いている。
そして、この「前夜祭」にもまた、これから結婚をしようとする山田詠美の心境が反映されている。
それにしても、恋する回数が多くて、決着をつけるのがとてつもなく上手、というのは本当に羨ましい。もう、13年も彼氏もおらず、恋愛に対して諦めと臆病な心ばかりが先だってしまっているぼくにとっては、縁遠い感覚になってしまって。詠美の作品のこういうセリフを読むだけで、なんだかお腹いっぱいになってしまうのだ。いけないいけないと思っているんだけどね。
【DATA】
山田詠美「前夜祭」
幻冬舎文庫『24・7(トウェンティフォー・セブン)』
KEN'S NIGHT M5レフィル<祝祭摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track Shine ※ラメ入り