CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 35th「アニマル・ロジック」

誰だって、どこかに棲みついている。魚が海や川に棲むように。ライオンがアフリカの大地に棲むように。憎しみや愛情が人の心に棲むように。

山田詠美「アニマル・ロジック」より

山田詠美初の書きおろし長編小説「アニマル・ロジック」は、差別について真っ向から取り組んだ意欲作である。
人種のるつぼと言われているニューヨークを舞台にしたこの作品の主人公は血液の中に潜んでいる人間の目には見えない存在「ブラッド」である。
なぜ、ブラッドを主人公にしたのかというと、人間の差別について客観的に書くためには、そういう存在が必要だったからだ。
原稿用紙1000枚にも及ぶ作品は山田詠美にしては珍しいし、しかも書き下ろしということもあり、そこに山田詠美のこの作品に込められた強い意味合いというものを考えたい。
差別はもちろん、いけないことだ。だが、人間である以上、何かしらの差別はしてしまう。では、その差別とどう向き合うべきか、ということをこの作品は我々に投げかけている。
人権問題などが声高に叫ばれている今だからこそ、多くの人に読んで欲しい作品だ。

【DATA】
山田詠美「アニマル・ロジック」
新潮文庫『アニマル・ロジック』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 04 Night and Day