CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 169th アニマルロジック

スージーが夫と抱き合う時、彼女の精神は肉体より肥大し過ぎているのだ。そして、ヤスミンとこうする時、体の感覚は心の大きさを上まわる。同じ大きさでなきゃ駄目よ、というように、ヤスミンは、優しく甘い言葉でスージーの体を誉める。それは、とろりと溶けて、スージーの体と心を貼り付けようとする。その瞬間にエクスタシーはやって来る。
山田詠美「アニマルロジック」
『アニマルロジック』より

スージーは既婚者でありながら、夫とのセックスに違和感を覚えている。一方で、同性であるヤスミンとのセックスに安ど感を抱いているのだが、その様子を描いた上記の文章は、山田詠美らしいセックスの在り方が描かれているように感じられる。
セックスというのは、どちらか一方だけが楽しむものではない。二人だからこそ、二人が同じような熱量で接することができないと白けたものになってしまう。
それをこんな風に美しく、さらにロジカルに表現できるのは、山田詠美だけなんじゃないかってぼくは思う。
【DATA】
山田詠美「アニマルロジック」
新潮文庫『アニマルロジック』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 11 Smile ※ラメ入り