CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 137th アニマル・ロジック

「終わった後に吐くことすらあるわ。その時、ようやく思い出すの。ああ、私の体と心は一緒だわって。肉体的な不快感と自己嫌悪がひとつになって、私っていう人間を作っているんだって思うの。スティーヴに抱かれている時は、体と心が完全に分離してるの。と、いうより、それを拒否してるの」
山田詠美「アニマル・ロジック」
『アニマル・ロジック』より

山田詠美の初の長編書き下ろし小説である『アニマル・ロジック』は、様々な人間関係が、主人公であるヤスミンの体内に棲息する血液の視点で描かれている。
上記のシーンは、ヤスミンと肉体的な関係を結んでいる既婚女性の言葉だ。
そして、ここでも山田詠美の永遠のテーマでもある心と体の関係について語られる。
人間という生き物は心と体が必ずしも一致するものではない。
もちろん、どちらもが同じように満たされるのがもっとも幸せなことだと思うのだが、それがなかなかうまくいかないことも、ままある。
答えはみつからないものの、それについて常に考えるきっかけを山田詠美はその小説の中でこんな形で提示してくれるのだ。
【DATA】
「アニマル・ロジック」新潮文庫『アニマル・ロジック』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 6 Autumn Leaves