CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 168th 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち

我家には大人のために酒はふんだんに用意されていたが、それらは、楽しみを倍にするためだけに使われていた。そのことは、子供たちも充分意識していて、大人たちの、酒を飲もうという提案を小耳の挟んだだけで嬉しくなったりしたものだった。シャンパンの栓を抜く音を聞くことは、そのまま、幸福のお裾分けに与るのに等しかった。
山田詠美「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」
『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』より

酒豪というほどではないが、お酒が好きな山田詠美は、作品の中でもしばしば酒が登場する。その種類も様々なのだが、この文章を読むと、詠美がお酒をどのように自分の生活の中に摂り入れているのか、ということが垣間見れる。
つまり、お酒はたんに酔うためのものではなく、「楽しみを倍にするため」のものなのだ。
ぼくはお酒がまったく飲めないので、お酒を飲める人が羨ましくて仕方ない。なぜなら、木っと下戸には理解できない倍の楽しみを味わっているんじゃないかと思えるから。
【DATA】
山田詠美「明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち」
幻冬舎文庫『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 10 My Funny Valentine ※ラメ入り