CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 148th ファーストクラッシュ

 母は、他人から良い印象を持たれるべく常に気をつかっている人。でも、私は、自分自身にまず気をつかう。自分から見て満足する自分でありたいと常に願っているのです。はっきり言って、他人の目なんて知ったこっちゃない。だって、下々の者たちだもの。
山田詠美「ファーストクラッシュ」
『ファーストクラッシュ』より

山田詠美の小説には、しばしば女王様気質の主人公が登場する。姫君なんかもまさにそんな女王様の典型なのだが、このファーストクラッシュに登場する高見沢麗子はまさにそんな女性だ。そして、彼女の目から語られる高見沢家の様子は他の姉妹たちともまったく異なり、そこが実におもしろい。この作品は一つの家族を三人の姉妹の視点で描かれているのだが、三者三葉、姉妹とはいえ、まったくものの見方、価値観が違っていて、そこもこの小説の魅力になっているのではないかと思った。
ぼくは一人っ子だから、余計にそう思うのかもしれないけど。
【DATA】
山田詠美「ファーストクラッシュ」
文春文庫『ファーストクラッシュ』
KEN'S NIGHT M5レフィル<彩酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track Thank You for the Music