CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 160th 歩くだけの旅―京都

 知っているつもりになって、実は、何も知らない街は、案外多いと思う。貯えられた知識のみで納得して心の地図を閉じてしまうと、その街は、永遠に、どこかに存在する筈の架空の土地である。街は、歩いてこそ、その人にだけの特別な心象風景を提供する。そして、空気を吸ってこそ、知識は印象に協力する。
山田詠美「歩くだけの旅―京都」
『Amy Shows』より

山田詠美は、本格的な紀行文のようなものは書いていないのだが、雑誌などで単発で寄稿した旅にまつわる文章がAmy Showsにまとめられていて、そこで読むことができる。
旅の文章ひとつとっても、詠美さんらしい観点で書かれていて、やっぱり作家の目を通して描かれる旅は凡人のぼくたちとはまったく違うんだなぁと感心してしまう。
ぼくは実は歴史はとても苦手で、京都に行っても「ふーん、古い街なのね。素敵ね」ぐらいな印象しか持たないのだが、詠美さんのこういう文章を読んでいると、自分なりの旅の楽しみ方を模索してみようかなっていう気になる。
【DATA】
山田詠美「歩くだけの旅―京都」新潮文庫『Amy Shows』
KEN'S NIGHT M5レフィル<赤色日本景>
KEN'S NIGHT 1st Track 03 Fly Me to the Moon