CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 152nd ハーレムワールド

 スタンは顔を傾けてサユリに口づけた。サユリは立ち止まり彼の首に腕をまわす。道で交わすにはあまりにも丁寧な口づけは、唾液の糸を甘やかに交錯させ、欲望という布地を織り上げる。
山田詠美「ハーレムワールド」
『ハーレムワールド』より

いつも思うのだが、山田詠美は、文章の達人だ。ストーリーそのものよりも、文章で読ませる作家。どんな小説も、適当に頁を開いて読むと、そこに詠美にしか書けない美しい文章が綴られている。ぼくが山田詠美を愛してやまないのは、そういう日本語で書かれた文章を、翻訳に頼ることなく、直接実感できるからなのだ。
上記のこの文章にしても、街中で交わされる男女のキスシーンをこんなにも上手に表現するなんて!とぼくはこういう文章に触れるたびにうっとりしてしまう。
まぁ、なかなかそういう経験はないので、憧れるだけなのではあるが。
【DATA】
山田詠美「ハーレムワールド」
講談社文庫『ハーレムワールド』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 7 Stars Fell on Alabama ※ラメ入り