CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 123rd「ピンプオイル」

濡れた心というのはいいものだ。いつでも涙ぐめる心を持っていると、女の瞳は美しくなる。
「ピンプオイル」『24・7(トウェンティフォー・セブン)より

山田詠美はデビュー当時、実に多くの男女の恋物語を描いてきた。そのどれもが、当時としてはとても新鮮で、そして官能的でありながら、美しい文章で彩られていた。
山田詠美がデビューした当時、ぼくはまだ高校生だったので、そんな彼女に対してあまり良い印象を持っていなかった。つまり、ぼくはそれだけ成熟していなかったのだと今になって思う。
それが、社会人となり、二丁目での遊びを覚え始めた頃に、ひょんなことから山田詠美の作品と出会い、きちんと読むようになってから、その世界観にすっかり魅了された。
そして、貪るように彼女の作品を読み漁ったのだが、そこに描かれる男女の様々なシーンにぼくは酔いしれた。
山田詠美の作品の面白さは、ストーリーよりも、その文体にあるとぼくは思っている。(そういう意味で、ぼくは彼女は直木賞ではなく、芥川賞的だと思っているのだが)
思わず傍線を引きたくなるようなフレーズが小説のあちこちにちりばめられているのだ。
上記のシーンもそう。
この文章だけで、濡れた心の美しさというのもがどのようなものか、ということが伝わってくる。
【DATA】
山田詠美「ピンプオイル」
幻冬舎文庫『24・7(トウェンティフォー・セブン)
KEN'S NIGHT M5レフィル<和風三色幕>
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