CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 97th「ピンプオイル」    

 涙は虫眼鏡の役割をはたして彼の爪を拡大させる。こんなにも彼の爪が大きかったのかと気付くと同時に、またもや涙は盛り上がる。
「ピンプオイル」    幻冬舎文庫『24・7』より

文庫本の帯には、「山田詠美が描く、不慮の事故というべき大人の恋。」というキャッチコピーが書かれているのだが、この作品集はまさにそんな大人の恋が描かれている。
この「ピンプオイル」という小説に登場する黒人男性の名前は詠美の小説にもしばしば登場するロバートという名前だ。
恐らく詠美の最初の旦那さんがモデルになっていると思われる。
そう、『ラビット病』にも登場するお茶目なロバちゃんだ。だが、まったく同一人物かというと、そういうわけではなく、作品によって、そのキャラクターは微妙に異なっているし、描き方も変えている。
しかし、その男性に対する主人公の視点は一貫して愛しさに満ちあふれていて、この作品でもそんな詠美の相手に対する愛しい気持が手に取るようにわかる。

【DATA】    
山田詠美「ピンプオイル」    
幻冬舎文庫『24・7』    
KEN'S NIGHT M5レフィル<和風三色幕>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust ※ラメ入り