CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 98th「ファースト クラッシュ」    

 そう、不憫、みなし子、しがない、足手まとい……私を泣かせる用語たち。のっぴきならないなんて、生まれて初めて使ったのよ。力のせいで、私の頭の中には、どんどん言葉が補充されて行く。しがないみなし子のくせに。
「ファースト クラッシュ」    文春文庫『ファースト クラッシュ』より

「ファーストクラッシュ」は、父親がある日突然連れて来た男の子と一緒に暮らすことになった三姉妹の話だ。三姉妹は、三者三様の方法でその新堂力と接するようになる。
上記の場面は三姉妹の真ん中の次女である咲也は、同学年である彼に対して執拗に嫌悪感をあからさまにぶつける。
だが、その中に彼に対する特別な感情があることも作品を読み進めて行くうちにわかるようになっている。
そして、他の姉妹との関係も複雑に絡み合い、この作品は独特の雰囲気に包まれる。
小説そのものが、三姉妹それぞれの視点から描かれているので、その絡み合いがさらに複雑で、スリリングだ。

【DATA】    
山田詠美「ファースト クラッシュ」    
文春文庫『ファースト クラッシュ』    
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜桜摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 08 Smoke Gets in Your Eyes ※ラメ入り