CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 146th 賢者の皮むき

ぼくが腑に落ちないのは、山野舞子のような女の子たちが、仕方なく美少女になってしまったの、とでも言いたげな様子をしていることなのだ。そうして、誰もが自分の味方に付いているのを疑いもせずに、振る舞っているいることなのだ。
山田詠美「賢者の皮むき」
『ぼくは勉強ができない』より

山田詠美は色々なタイプの「女の子」を書く。ただ、主役級の女の子はいずれも一本芯が通っていて、自分なりのスタイルを持った子たちばかりだ。しかし、その対比として、そうじゃない、可愛らしい女の子というのも描かれている。誰もが認めるような可愛い女の子。そして自分でもそれを意識しているけれども、それを悟られないように演技をしているような子。上記の山野舞子がまさにそんな女の子だった。しかし、主人公である時田秀美はそんな女の子が実に苦手。ぼくもそういう女の子とは縁のない生活をしてきたから、余計に時田秀美にシンパシーを感じるのだが、でも、「なんでそういう女の子が苦手なのか」を詠美は言語化してくれるから、思わず傍線を引きたくなるのである。

【DATA】
山田詠美「賢者の皮むき」
文春文庫『ぼくは勉強ができない』
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 11 Smile ※ラメ入り