CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 134th ガリレオの餌

つまり、男っていうのは、違う種類の女に弱いのだ。それまで自分の好みのタイプの女という枠組みを心の内に置いて安心して来た男は、それが壊された時に、どうしてよいのか解らなくなってしまうのだ。男は、いつも、傾向と対策を心の内で立てたがる。そして、それを自分のスタイルだなどと呼んで悦に入っているが、実は、それは自分の気持を平静に保つための手段なのだ。知っているものは安心出来る。
山田詠美ガリレオの餌」
『120%COOOL』より

ハードボイルド作家を主人公にしたユーモア小説。詠美さんの親しいハードボイルド作家というと、北方健三、大沢在昌などがいるが、恐らくこの小説はそんな詠美と仲の良いハードボイルド作家がモデルとなっていると思われる。
我々はついつい作家のことをその作品のイメージで考えてしまいがちだが、実際の本人はそのイメージとはかけ離れていることが多い。
例えば山田詠美だってそう。ぼくも実際にサイン会でお会いするまでは、その作風から、ちょっと怖いお姐さん、という感じだったのだが、実際の詠美は可愛らしい恥ずかしがりやの少女のようだったし(今ではぼくの前ではそんなそぶりを見せてはくれないが…笑)。
だから、この作品に登場するハードボイルド作家木島龍之介のことも、何となく理解しちゃうんである。
そして、この作品も最後が鮮やかで、何度も何度も繰り返し読み、その過程を楽しむ。
【DATA】
ガリレオの餌」幻冬舎文庫『120%COOOL』
KEN'S NIGHT M5レフィル<美酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust ※ラメ入り