CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 124th 待ち伏せ

夜の仕事についている女に対して、彼らは一種の理想を持っているようなのだ。それは、そう見えない女が、意外なことに貞操観念を持っている、というものである。この意外なことに、というのがカギである。その意外性は自分に対してのみ外れるのが理想である。男たちは、どうやら、そこに、ロマンを感じるらしいのだが、このことは大昔から変わっていないように、真利子には思われる。
待ち伏せ
『120%COOOL』より

赤坂のクラブで働くことになった女性と、そこでボーイとして働く若者の小さな恋愛を描いた作品である。恐らく、詠美の実体験に基づく話だと思われるのだが、当時の赤坂の夜の街の様子が伝わってくる。
ぼくは同性愛者なので、いわゆるストレートな男、それもおじさんと呼ばれる人たちの女性に対する想いというのはまったく理解不能だし、そういうおじさんたちと接する機会がほとんど皆無なので良くわからないのだが、詠美のこういう小説やエッセイなどに出て来るおじさん像から、そういう、いわゆる前時代的な人種って今もいるんだろうか?と疑問に思ってしまう。でも、きっといるんだろうなぁ。
残念なことに。
こういう人種が絶滅しない限り、この国の男性社会というのは変わらないような気もして、絶望的な気持になってしまう。
【DATA】
山田詠美Day 124th 待ち伏せ
待ち伏せ幻冬舎文庫『120%COOOL』
KEN'S NIGHT M5レフィル<和風三色幕>
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