CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 118th「彼女の等式」

「なんていうか、きみって、ペン入れする前に、スクリーントーンを貼ったほうな、あるいは、消しゴムをかける前に、ホワイト入れちゃったようなそんな印象を受けますね」
 ギャフン、である。意味不明の人物描写である。
「彼女の等式」    
幻冬舎文庫『120%COOOL』より

山田詠美が小説家としてデビューする以前は、数年間、山田双葉という本名で漫画を描いていたことはファンじゃなくても知っている人は多いだろう。
本人は当時のことを黒歴史のように思っているところがあり、あまりその時の話をしたがらないのだが、詠美フリークとしていくつかの彼女の漫画作品を読んだ限りでは、山田詠美としての片鱗がそこかしこにあって、なかなか面白く読める(漫画家としての画力に関しては専門外なので何とも言えないのだが)。
上記のフレーズはまさにそんな漫画家だった山田詠美ならではの表現で、そこがユニークだと思った。
この作品には、様々な恋愛における男女の等式に関する考察がされていて、それもこの短編の魅力なので、これからしばしばこの作品からの文章を紹介したいと思っている。
【DATA】
「彼女の等式」
幻冬舎文庫『120%COOOL』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜桜摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track12 You'd Be So Nice to Come Home to