CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 89th    「ひざまずいて足をお舐め」    

セックスは男と女の重要なつながりのひとつだってこと。本当のことなのに日本人って恥しがる。体で愛し合うのって最高だよ、お姉さん、そこに心が加われば、もっと最高。遊びのセックスはこの場合、他に置いといて、さ。そう思わない?
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」    『ひざまずいて足をお舐め』より    

山田詠美の初期の作品には、エッセイも含め、当時の山田詠美を取り巻く様々な状況が読み取れる箇所が数多くある。
この「ひざまずいて足をお舐め」はそんな山田詠美の作家デビュー当時のことが自叙伝的に描かれている。
この作品を読んだ母が「詠美さんは赤裸々に書きすぎだと思うけど、よっぽど腹に据えかねることが多かったのねぇ」という感想を述べていたが、まさにそうだんのではないかと思う。
今は考えられないことが当時は当り前のように起こっていたのが、この作品を読むとわかるので、そういう意味でも多くの人に読んでもらいたい。
いかに当時の文学界と呼ばれている世界がくだらなかったのかということが本当に良くわかるから。
そんな中、河野多惠子山田詠美の作品の底に流れている文学の本質をしっかりとくみ取り、文藝賞に押したのは本当に日本の文学史上大きな出来事だったのではないかとぼくは大げさでなく思ってしまうのである。

【DATA】
山田詠美「ひざまずいて足をお舐め」
新潮文庫『ひざまずいて足をお舐め』
KEN'S NIGHT M5レフィル<美酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 3 The Girl from Ipanema ※ラメ入り