CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 125th ぼくは勉強ができない

幸福に育って来た者は、何故、不幸を気取りたがるのだろうか。不幸と比較しなくては、自分の幸福が確認できないなんて、本当は、見る目がないんじゃないのか。そう言えば、植草は、虚無がどうのこうの言ってたな。
「ぼくは勉強ができない」
『ぼくは勉強ができない』より

高校生を主人公とした山田詠美を代表作ともいえる「ぼくは勉強ができない」を読んでいると、様々な人間模様に触れることができる。こういう人物はあまり周りで見たことがないが、でも、何となく、なるほど、こういうタイプいるよね、と思えてしまう。
上記の「不幸を気取りたがる幸せ者」というのは、ぼくの周囲には残念なことに(幸せなこと?)いないのだが、でも、作品を読んでいると、納得できてしまう。
そして、でも、詠美はそういう人物に対して拒絶をするのではなく、ちゃんと受け入れているのだ。この作品に登場する植草という人間もそう。だから、読んでいてすがすがしい気持になる。
【DATA】
山田詠美Day 125th ぼくは勉強ができない
「ぼくは勉強ができない」文春文庫『ぼくは勉強ができない』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track Thank You for the Music