CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 76th    「セイフティボックス」

 彼らの話が、また実におもしろい。思うに、外国の男の人って、本当の意味で自立しているね。よるとさわるとお酒を飲んで、会社の愚痴を言ったり、風俗の女の子の話をしてるおじさんたちとは大違い。プライバシーを話さなくても成り立つ大人の会話が男同士でしっかりと成り立ってしまう。
「セイフティボックス」『セイフティボックス』より

「セイフティボックス」は、週刊現代に連載されたエッセイである。当時山田詠美は『ベッドタイムアイズ』でデビューし、その経歴から週刊誌などでは本人と意としない形で話題となり、特に当時いわゆるオジサンと呼ばれる中年男性からは物珍しい目で見られていた。そんなおじさんたちが読者層という週刊現代に連載されていたというのがびっくりである。
詠美本人というよりも、それを企画した担当がすごいなと。
当時、詠美さんの言う「現ポスおじさん」たちは一体どんな気持で、このエッセイを読んでいたのだろうか。
さすがに、今は詠美さんのことを好奇の目で見るようなおじさんはいないと思うので、時代は変わったなぁと思う。
そして、そういう意味で当時のおじさんの視点を詠美のエッセイを通して読むというのも面白いんじゃないだろうか。


【DATA】    
山田詠美「セイフティボックス」    
講談社文庫『セイフティボックス』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 6 Autumn Leaves