CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 121st    「正しいお母さん」

ビリーは私の実家ではしかられても幸福そうにしている。子どもにとって周囲の無関心ほど、つらいものはないのだと私は気付く。ビリーに必要なのは正しいお母さんなのだ、とかつて正しいおかあさんに育てられた私は反省するのだった。
「正しいお母さん」『私は変温動物』より

山田詠美は子供のいる黒人男性とお付き合いをしていたことがある。そして、その時のことは「ジェシーの背骨」や「トラッシュ」といった作品でも描かれている。
だが、それはあくまでもフィクションである。なので、小説の中から実際の詠美とその連れ子である彼の関係を深く知ることは難しい。
ただ、このエッセイの中では、詠美は素直にその子どもとの関係を描いている。
彼女は自分の付き合っている男の子どもとどのように接したら良いのかわからず戸惑っているんである。
しかし、詠美の母親は「正しいお母さん」としてその子と接していて、その様子をこのエッセイを通してわかり、なんだかとてもほっこりするんである。詠美もそんな正しいお母さんに育てられたんだろうなと、個人的にも詠美と仲良くしていて、いつもそんな詠美の優しさに直に触れているぼくはとても納得するんである。

【DATA】
山田詠美「正しいお母さん」
講談社文庫『私は変温動物』    
KEN'S NIGHT M5レフィル<赤色日本景>
KEN'S NIGHT 2nd Bonus Track Don't Rain on My Parade