CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 83rd    「恋の不純物」

春は発情期の季節です。世の中では、発情期を恋の季節と呼んだりするみたいなんですね。失礼しちゃう、私はもっと純粋な気持で、恋を始めようとしているんだから、というあなた、怒ってはいけません。純粋な気持でする恋なんて、近頃は滅多に存在しないのです。去年、純愛という言葉がはやりましたが、純粋な恋愛なんて、つまらないものです。やはり、恋は、よこしまなのがよろしい。さわやかな汗だって、そのままにしといたら臭くなってしまうように、恋にも不純物がいっぱい含まれているもんなんです。
「恋の不純物」『エイミー・セッズ』より

『エイミー・セッズ』は詠美さんのそれまで単行本化されなかったエッセイを寄せ集めたエッセイ集です。
でも、そういうエッセイの中にドキッとするような詠美節が隠れているから、油断がならない。
このエッセイもまさに詠美節全開だ。
恋というのは、不純物が混ざっているからこそ、恋なのだということを詠美なりの視点で描かれている。
春である。発情期である。(まぁ、人間は動物学的には年がら年中発情期であるわけだとは思うが)
大いに恋をしようではないか。
いや、恋はするものではない、落ちるものだ。
ならば、大いに恋に落ちよう、いや、墜ちようではないか!
という気にさせてくれる。
    
【DATA】    
山田詠美「恋の不純物」
新潮文庫『エイミー・セッズ』
KEN'S NIGHT M5レフィル<桜舞摩天楼>
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