CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 114th「恐怖のバリ島三人組編」    

 しかし、南の島に着いたばかりって、本当に水着が似合わない。それなのに、日がたつにつれて、どんどん似合う肌の色と体型、そして姿勢になって行くのよね。鏡でそれを確認して喜んでいた私はナルシスト? そうかもしれない。太陽の光、そして日の影は、どんな人をもナルシシズムに引き込むのである。
「恐怖のバリ島三人組編」    
談社文庫『嵐ヶ熱血ポンちゃん』より    

ポンちゃんが行く」は山田詠美の当時の日常生活を垣間見ることができる大人気エッセイシリーズだ。
特に初期の頃の山田詠美は、若いということもあり、フットワークも軽く、海外にも良く遊びに行っていた。バリ島には取材も兼ねて何度も行っているし、ニューヨークも当時の旦那さんがニューヨーク出身ということからも年に数回訪れていて、その頃のことがエッセイを読んでいると良くわかる。
でも、そんなエッセイの中にも詠美節が隠れていて、上記のフレーズもそうだ。日傘をさして歩くよりも、太陽と仲良しの女性の方がずっと魅力的、そんなことを感じさせる文章だ。    
【DATA】
「恐怖のバリ島三人組編」
講談社文庫『嵐ヶ熱血ポンちゃん
KEN'S NIGHT M5レフィル<流星摩天楼>
KEN'S NIGHT 2nd Track 8 When I Fall in Love