CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 105th「蝶々の纏足」    

「ねえ、その煙草、私にも吸わせて」
 いつのまにか麦生が手にしていた煙草を私は奪い取って口にくわえた。吸い口は麦生の唾液で濡れていて甘かった。
「私の体の味がする」
そう言って私は潤んだ目で麦生を見た。私は、この時、「酔う」ということを初めて覚えたのだった。
山田詠美「蝶々の纏足」    
新潮文庫『蝶々の纏足・風葬の教室』より

「蝶々の纏足」は山田詠美の初期の作品だが、いろんな要素が詰まった作品だと思っている。恋愛的な要素もあれば、少女時代の多感な時期を過ごしてきた作者の心理的な変遷をたどれる作品でもある。
それだけにいろんな読み方のできる作品で、そこがこの小説の面白さなのではないだろうか。
そして、登場人物の名前にも注目。
以前、ぼくは詠美さん本人にも指摘したことがあるのだが、詠美さんの小説に登場する「〇生」という名前の男性がみんな魅力的なんである。
「A2Z」の成生しかり、「ジェントルマン」の夢生しかり。
きっとこれからもそんな名前の男子は出て来るだろうから、そこも詠美フリークとしてぼくは楽しみにしているのだ。
【DATA】
山田詠美「蝶々の纏足」
新潮文庫『蝶々の纏足・風葬の教室』
KEN'S NIGHT M5レフィル<美酒摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The Rose ※ラメ入り