Day 70th 「風葬の教室」
私が新しい学校生活に出会うのは、いつも春ではありません。学年の始まる春は、誰もが私と同じ立場なので、私には少しも新しい気持が起きません。私は、自分を遠く別だと感じません。特別でない自分を、いったい人はいつくしむことが出来るものでしょうか。
「風葬の教室」『風葬の曲室』より
「風葬の教室」は、転校の多かった山田詠美の自伝的小説だとぼくは思っています。そして、ぼくが山田詠美の作品に興味を持つようになったのは、自分も転校が多く、そのたびに人間関係で苦労したり、もちろん、イジメを受けることも少なくなかったので、余計に作品に登場する主人公に共感できるからです。
もしも、あの時、この作品に出会っていたら、ぼくはもう少し強くなっていたかもしれない。そう思わせるところが多いので、大人になってから貪るように詠美の作品を読み漁ったのだ。
「風葬の教室」はずっと胸の奥でくすぶっているぼくの想いを言語化してくれている作品だと思って今でも大切に読み返している。
【DATA】
山田詠美「風葬の教室」
新潮文庫『蝶々の纏足・風葬の教室」
KEN'S NIGHT M5レフィル<青色日本景>
KEN'S NIGHT 2nd Track11 What a Diffrence a Day Made