CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 41st「蝶々の纏足」

 十六にして、私、人生を知り尽くした。そんな筈、ないけど、とにかくそう思い込んだ。その時、私にとっては人生っていったい何だったのだろ。男に付随してるすべてのもの? セックスやお酒や煙草や肉体にもたらせる甘い快楽なんかの、少し面倒臭くてもしておかなきゃならない十代の義務? なんて馬鹿。私、何も知らない子供だった。けれど、人を憎むことは知っていた。それだけで、私は十六歳で人生を知る権利を与えられたのだと思う。

山田詠美「蝶々の纏足」より

正直に告白すれば、「蝶々の纏足」を初めて読んだ時、ぼくはなんだかあまり良い気持がしなかった。女性独特のいやらしさのようなものを感じてしまって、素直に受け入れることができなかったのである。
そして、それは今でも同じこと。
ぼくが女性が苦手なのは、こういうところを、子どもの頃に本能的に感じてしまったからゲイになったのではないかと思ったほど。
でも、女性のそういった部分もきちんと掘り下げて描いているところにこの作品の面白さはあると思うので、苦手と思いながらも、ついつい読んでしまうんである。

【DATA】
山田詠美「蝶々の纏足」
新潮文庫『蝶々の纏足・風葬の教室」
KEN'S NIGHT M5レフィル<方眼摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Track 11 Smile