CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 75th    「MENU」

「部屋に入るのは良いけど、勝手におれのコレクションに触らないように。そっちにあるCD聴けよ」
「だって、トキ兄のお宝、チェックしたかったんだもん。レコードジャケットって素敵だね。一枚の絵って感じ。この女の人、誰?」
「マリアンヌ・フェイスフル」
「MENU」『姫君』より

山田詠美の『姫君』に収録されている「MENU」は当時はあまり感じなかったが、今読むと、山田詠美の一部の作品に通じる狂気のようなものが感じられる作品である。
ちょっと恐ろしい感じの大人のためのホラー。
人間同士のいびつな関係だとか、そこから生まれる個々のよじれた感情とかが、色濃く浮き出る作品である。
好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、強烈な読後感を与えるところがこの作品の魅力のひとつと言えるだろう。

【DATA】    
山田詠美「MENU」    
文春文庫『姫君』
KEN'S NIGHT M5レフィル<方眼円盤集>
KEN'S NIGHT 1st Track 09 Moonlight Serenade