CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 74th    「自分教」

私の念は、そんじょそこらの単細胞の念とは訳が違うのである。ちゃっちゃと恨みをはらして終わり、などという生易しいものではないのだ。長年の怨恨が層を成してミルフィーユ状になった代物。いつのまにか、その想像主である私自身もじっくりと堪能させる程のクウォリティをものにしていたのである。だからこそ、この望みは叶えられた。    
「自分教」『珠玉の短編』より    

最近の山田詠美の短編を読んでいると、なんだか、大人のホラー的な作品が多くて、背筋がゾクゾクしてしまうことがある。
この『珠玉の短編』に収められた作品たちも、そんな大人のホラー的なものばかりで、とても面白い。
古くは源氏物語でも描かれた六条御息所の生霊の例を挙げるまでもなく、人間の念というのは本当に怖いもので、だからこそ、人間ってすごいなと思うし、興味深いとも感じるのだ。

【DATA】    
山田詠美「自分教」    
講談社文庫『珠玉の短編』
KEN'S NIGHT M5レフィル<夜景摩天楼>
KEN'S NIGHT 1st Bonus Track The Rose ※ラメ入り