CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 247th Crystal Silence

「今、思い出すと、彼の体が海の水以外のもので濡れるのって、私と愛し合った時だけだったみたい」
 本当に熱かったのね。私は心の中でそう呟いて、見たこともない南の島の少年を思い浮かべる。そして、男にとって、好きな女の子が流させた汗というのは、どういう意味を持つのだろうか、とぼんやり考える。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符』より

山田詠美の小説を読んでいると、登場人物たちが、皆自分なりの価値観というものを持っていて、その価値観がそれぞれに違っていて、そこにぼくは共感する。
それは、男女、年齢問わずなところも詠美作品の大きな特徴と言えるだろう。
この作品でも、マリという女の子は、自分の価値観をとても大切にしていて、そしてその中で自分にしかわからないであろう男の子と知り合い、恋に落ちる。そういう視点を若いうちから持つということはとても大切なことだから、ぼくは若い子たちにこの作品を読むようにいつも薦めているのである。
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 06 My Favorite Things