CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 248th Crystal Silence

陽ざしが眩しくて、彼のことも見えなかったわ。彼は、それなのに静かな目で私を見ていたみたい。太陽は彼の背中の上にあったから、瞳をよく働かせることが出来たのね。彼の耳が聴こえないように、私の目も見えなかった。私たち、ちょっとかわいそうな動物みたいに愛し合ったってわけ。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符』より

山田詠美は「目」や「視線」というものをとても大切にする作家だと思う。このブログでも何度も紹介しているが、山田詠美は瞳を使って登場人物たちを恋に落とす。
上記の場面も、まさにそんな瞳を介して二人が心を通いあわせる場面だ。
まるで映画のようなワンシーンは強く読者の印象に残るであろう。
【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
新潮文庫『放課後の音符』
KEN'S NIGHT M5レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 1st Track 07 Stardust ※ラメ入り