CLUB AMY 365

山田詠美の文章をご紹介。詠美さんご本人の掲載許可済です。

Day 239th Crystal Silence

本当に静かで素敵な島よ。でも、普通の娘たちにはきっと解らない。何もかもが自然のまま放って置かれている場所だもの。あの男の子もそう。あたしにしか価値が解らない。いつも、ぼろぼろの短パンとTシャツしか身に付けていなかった。髪の毛なんて、脱色されちゃってぱさぱさだったしね。
山田詠美「Crystal Silence」
『放課後の音符(キーノート)』より

詠美の本を読んでいると、それぞれの人たちのこだわりこそが大事だということが良くわかる文章に出会うことが多い。
大勢の人にわからなくても、自分だけがわかる美しさとか、素晴らしさ、というものを大切にしているんだなって思うのだ。
そして、ぼくもそういう視点は大事だと思っているし、それこそが文学だとも感じている。
この文章を読んで、さらにその想いを強くした。

【DATA】
山田詠美「Crystal Silence」
集英社文庫『放課後の音符(キーノート)』
KEN'S NIGHT M6レフィル<海辺夏休暇>
KEN'S NIGHT 2nd Track2 Summertime